読書から国語力を育てることばの学校【今月の一冊】

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今月の一冊

今月のこの一冊 ことばの学校 厳選の230冊から1冊を紹介します!

「まいごになったぞう」

薗田いっきゅう先生

今回の本

まいごになったぞう

『まいごになったぞう』

寺村輝夫/作 村上勉/絵
1,080円 1989年初版

テーマ

純真・信頼・愛

読後感

渡る世間に鬼はなし

絵のタッチ

つぶらな瞳

あらすじ

ゾウの赤ちゃんが迷子になって泣いています。キリン、カバ、ワニ、ライオンがそれぞれ子ゾウを心配して声をかけても、ただ「あばば うぶー」と子ゾウは言うばかり……

ポイント

もちろん、最後には母さんゾウの元へ帰るのですが、それまで子ゾウは誰に会っても「あばば うぶー」だけで通します。
カバは言います。「ワニに食べられちゃうよ。」そんなワニに会うと、今度はワニが「ライオンに食べられちゃうよ。」と心配して声をかけます。
ライオンでも、子ゾウのことが、かわいくなって食べることはありません。
それぞれの動物たちは、お互い立場は違い仲良くないのかもしれないけれど、赤ちゃんゾウに対する愛はみんな持っているのです。
世界に対しての信頼感、肯定感を感じる大らかなゆったりした作品です。

「吾輩は猫である」(上)

今回の本

「吾輩は猫である」(上)

『吾輩は猫である(上)』

夏目漱石/作 村上豊/絵
724円 1905年初版

テーマ

ユーモア・風刺

読後感

おかしい

絵のタッチ

水彩・淡い・まるい

内容

くしゃみ先生のうちに飼われる名もない猫が、先生とそれを取り巻く人間たちを観察して、人間というものの愚かさを風刺して批判します。

ポイント

作品発表から100年を過ぎた今、ふたたび新聞連載されているのが、この小説です。長い小説ですが、その後の漱石の作品に見られる深刻な人間関係を扱った作風ではなく、ひょうひょうとしてユーモアがきいた作品です。たくさんの小さなエピソードを寄せ集めたような内容です。くしゃみ先生は、夏目漱石自身がモデルです。飼い猫からの視点を借りて、書き手自身が自分に批判を加える書き方なのです。猫の調子はこんな感じです。
「吾輩は人間と同居して彼らを観察すればするほど、彼らはわがままなものだと断言せざるをえないようになった。」
「どうしても我ら猫族が親子の愛をまったくして美しい家族生活をするには人間と戦ってこれをそう滅せねば……」
「いくら人間だって、そういつまでも栄えることもあるまい。まあ気を長く猫の時節を待つがよかろう。」

さくら子のたんじょう日

今回の本

さくら子のたんじょう日

『さくら子のたんじょう日』

宮川ひろ/作 こみねゆら/絵
1,300円 2004年初版

テーマ

家族・アイデンティティ・感謝

読後感

じーんとする

絵のタッチ

お人形のよう

あらすじ

さくら子はお母さんといっしょに自分の名前の由来になったさくらの木を訪ねます。その木は栗の大木が折れて、その先端からさくらの木が自然についだみたいにはえている木でした。この木は、くりの木がさくらの子を身ごもったような様子なので『みごも栗』と呼ばれていました。お母さんは子どもをさずかり、みごもるようにこの木にお願いしたのだそうです。
こうしてお母さんがお願いしてさずかったのがさくら子なのです。そんなさくら子には小さいときから自分の出生について気になっていることがありました。そのことをお母さんに聞いてみようと思いながらなかなか聞くことができないまま小学6年生になりました。さくら子は自分から『みごも栗』を見に行こうとお母さんを誘います。そうして、花の下でおべんとうを二人で食べ終わるとお母さんは打ち明け話を始めるのでした。

ポイント

自分とはいったい何なんだろうという思春期の自意識の芽生えをえがき、生まれてきたことに感謝する気持ちがあふれる作品です。

雨がふるのが待ち遠しくなる絵本

今回の本

雨がふるのが待ち遠しくなる絵本

『はっぱのおうち』

征矢清/作 林明子/絵
972円 1985年初版

テーマ

生き物・自然・時間

読後感

ほのぼの

絵のタッチ

表現がこまやか

あらすじ

さちちゃんは庭で1人、花を摘んでいたところ、ぽつりぽつりと雨がふってきます。茂みのかくれがで雨やどりをします。すると、雨やどりをする仲間が1匹ずつやってきます。かまきり、もんしろちょう、こがねむし、てんとうむし……

ポイント

ふつう雨やどりは、じっとして退屈なものですね。けれど、この作品では雨やどりという時間を、友だちがたずねて来るように生き物たちが次々にやって来るという動きがある楽しい時間として描いています。
子どもが退屈に思う時間を楽しい時間に変えて見せてくれるのです。
物事の見方や捉え方を新しく教えてくれるという読書が持っている力を素直に感じる作品です。雨がふった日に読む絵本にぜひおすすめします。

なぞの転校生

今回の本

なぞの転校生

『なぞの転校生』

眉村卓/作 緒方剛志/絵 
626円 1967年初版

テーマ

成長・SF(サイエンス・フィクション)

読後感

不思議?でも感動!

絵のタッチ

淡い

あらすじ

広一の中学校に転校生がやって来ます。
美形で秀才、スポーツ万能の好青年の典夫。
しかし、転校生の典夫は異様な行動を見せ始めます。
雨を怖がったり、運動会のリレーの本番の最中なのにジェット機が上を通過すると、コースをそれて、突然、校庭から逃げ出したりします。
それも典夫だけでなく、典夫と一緒の日に転校してきた美形で秀才、スポーツ万能の4人もリレーの最中にもかかわらず、逃げ出してしまいます。
新聞記事でわかったのは、このような謎の天才少年少女が実はたくさんいるらしいのです。
彼らは、典夫が転校して来たのと同じタイミングで他の町にもやってきたようなのでした。

ポイント

大ヒット映画『君の名は。』との共通ポイントがある作品ですので、ご紹介します。

・タイムスリップ
・学園もの
・クライシス(危機)
・恋愛

映像化も何度もされています。
ストーリーの面白さには、共通するポイントがあるようですね。

 

くちぶえ

今回の本

くちぶえ番長

『くちぶえ番長』

重松清/作 塚本やすし/絵
497円
2007年初版

テーマ

友情・別れ・思い出

読後感

いつまでも たえることなく 友だちでいよう ♪

あらすじ

小学4年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な転校生の女の子がやって来た。それが「くちぶえ番長」こと川村マコト。小さい頃に父親を亡くしたマコトは、強くて、やさしく、頼もしい。そんな、ツヨシとマコトの1年間の友情物語。

ポイント

ぐいぐい読ませるストーリー。登場人物のキャラクターのおもしろさ。エピローグやプロローグを駆使した構成(再読するとおもしろい仕組みに気づきます)。人情の機微に通じた心理描写。読みやすいけど、とても深い!重松清の作品に触れるたびにつくづく感じます。

 

だいじょうぶ だいじょうぶ

今回の本

だいじょうぶ だいじょうぶ

『だいじょうぶ だいじょうぶ』

いとうひろし/作・絵
1,080円
1995年初版

テーマ

信頼

読後感

「だいじょうぶ だいじょうぶ」と声に出したくなる

あらすじ

「僕」はおじいちゃんと散歩に出かける中で、世界のすばらしさ、そして、こわさも知ります。
そのたびにおじいちゃんが「だいじょうぶ だいじょうぶ」と声をかけて励ましてくれるのでした。

ポイント

この絵本の最後は、大きくなった主人公が、病気でふせるおじいちゃんの手を今度は自分がにぎり「だいじょうぶ だいじょうぶ」と声をかける場面で終わります。
自分を励ましてくれた言葉を今度は、おじいちゃんにかけるこの主人公は、きっと他人に向かっても同じような行動をとる人となるでしょう。まさにことばとこころを育む一冊です。

おくのほそ道

今回の本

おくのほそ道

『おくのほそ道』

松尾芭蕉(1644-1694) /作
1702年初版

 

テーマ

旅と人生

読後感

旅に出たい!

絵のタッチ

旅に生きた俳人松尾芭蕉の、約5ヶ月にわたる奥羽・北陸の旅日記。

ポイント

旅に生きた俳人松尾芭蕉の、約5ヶ月にわたる奥羽・北陸の旅日記。

ポイント

旅の日記ではありますが、もちろんその土地、その土地で詠まれる俳句が、鮮烈です。

行く春や 鳥なき 魚の 目はなみだ  (東京都 千住)

夏草や つわものどもが 夢のあと   (岩手県 平泉)

しずかさや 岩にしみいる せみの声  (山形県 山形市)

さみだれを あつめて早し もがみ川  (山形県 新庄市)

荒海や 佐渡に 横たふ 天の河    (新潟県 出雲崎)

いずれもたった17文字の中に、物の見方を変えさせる詩情、感受性があふれていますね。

ふたごの星

今回の本

ふたごの星

ふたごの星

宮沢賢治/作 あきやまただし/絵
1,080円 2005年初版

テーマ

友愛

読後感

宙に浮いているよう

絵のタッチ

ふしぎ、あわい色

あらすじ

天の川にすむふたごの星がさそりの星に大からすの星がけんかをしたところを助けたり、ほうき星にさそわれて天の川を旅します。大くじら、うみへび、海の王さまに出会います。

ポイント

作品の中に出てくる「星めぐりの歌」がとても有名です。
朝の連続テレビ小説「あまちゃん」でも使われていました。
また、代表作の『銀河鉄道の夜』の作品内でこの『ふたごの星』の話をする場面が出てきます。
お子さんが、大きくなって自分で『銀河鉄道の夜』を手にして読んだとき、この『ふたごの星』のことを思い出してくれたらいいですね。

くるくるくるよ おすしがくるよ

今回の本

科学の考え方・学び方

くるくるくるよ おすしがくるよ

川北亮司/作 山村浩二/絵
1,404円 2011年初版

テーマ

ユーモア

読後感

思わず口ずさみたくなる

絵のタッチ

ぎょろりとした目にふっくらした体型のキャラクター

あらすじ

回転ずしのお店に入った4人家族。注文すると次から次にすしネタのキャラクターが皿にのって登場します。リズムのよい言葉遊びにのせてすしネタたちは自己紹介をします。

本文から

ハマチのにいさん ちょっとおまち はちまきまいて どこいくよみち ふりむき かわいい おちょぼぐち

たとえば、ハマチを注文するとこんなフレーズにのせて、はっぴにうちわのハマチのにいさんが、ちょうちんにかこまれて皿にのって4人家族の前に登場します。

ことばあそびはリズムがいのち!
言葉の組み合わせのテンポにのせて、どんどん声に出して、読んでみたくなる1冊です。

思考の整理学

今回の本

科学の考え方・学び方

科学の考え方・学び方

池内了/著
907円 1996年初版

テーマ

科学の考え方と、科学のこれまでの歴史と、これからの課題がわかる一冊。

読後感

考えが整理できる!

ポイント

「2 科学の考え方」の章が、この本ならではの読みごたえある部分です。

日ごろの思考力・判断力のアップグレードにうってつけの内容です。
本文から

科学の考え方とは…
・毎日少しずつ変化していることに気づき、根気よく観察を続ける中で、「規則性」を見出すこと。
・「数値化・定量化」することで、異なった人の異なった場所での観測結果を客観的に比較・整理できること。
・自分流の仮説が、最終的には「変換に対して不変」な原理として採用できるか分析すること。

思考の整理学

今回の本

思考の整理学

思考の整理学

外山滋比古/著
562円 1983年初版

テーマ

思考のアイデア集

読後感

なるほど!

内容

読書技術やアイデアを生み出す方法、情報の整理の仕方などの知的活動ついてのエッセイ集

ポイント

出版から30年をかけて、100万部突破のロングセラー。
入試問題にもたくさん出ています。
2000年台になってから帯に以下の文面がついて、再び火がつきました。

・東大・京大で1番読まれた本
・もっと若い時に読んでいれば…そう思わずにはいられませんでした。

本文から

「A読み(すでに知っていることの再認)をしていたのが、突如としてB読み(未知のことの理解)のできるようになるわけがない。移行の橋わたしがなくてはならない。それに役立つのが文学作品である。国語教育において、文学作品の読解が不可欠な理由がそこにある。」(「既知・未知」より)

真田幸村 大阪の陣悲運の武将

今回の本

真田幸村 大阪の陣悲運の武将

真田幸村 大阪の陣悲運の武将

砂田弘/作 高田勲/絵
670円(税別) 1992年初版

テーマ

歴史・人生

読後感

人の運命を感じる

絵のタッチ

荒々しい、スケッチ風

あらすじ

今から450年前、日本は戦国時代。全国で武将たちがはげしく争っていました。
今の長野県である信濃(しなの)の国の小大名真田家は生き残りをかけて必死でした。
小大名でありながら真田幸村と父昌幸は、知恵を使って天下人である徳川家康をさんざん苦しめます。

ポイント

親しみやすいユーモラスなたとえ話がこの筆者独特です。

「わずか半年のあいだに、昌幸は武田勝頼、織田信長、北条氏政、徳川家康と、なんと四人も主人をかえたのでした。いまでいうと、サラリーマンが、半年間に四回も会社をかわったということになります。」

「幸村は、真田の旗、よろい、かぶとなどすべて赤一色に統一しました。これを「真田の赤備え」といいます。いまでいうと、さしずめ広島カープの赤ヘル軍団というところです。」

どうぞ、歴史の面白さに触れるきっかけにしてください。

ハッピーノート

今回の本

ハッピーノート

ハッピーノート

草野たき/作 ともこエヴァーソン/絵
1400円(税別) 2005年初版

テーマ

自分に素直になること

読後感

自分も変わらなきゃ!

絵のタッチ

こまやか、あたたかい

あらすじ

小学6年生の聡子(さとこ)は中学受験をするため、塾に通っています。
学校では聡子はグループの友だちにうんざりしています。
ホンネをかくしてつき合っているのです。塾ではそんな人間関係を気にせず、勉強に打ち込んでさえいればいいと思っています。

聡子には秘密があるのでした。塾の帰りに立ちよるドーナツショップで、同じ塾のボーイフレンドの霧島(きりしま)くんと待ち合わせて、いっしょに勉強することです。
霧島くんは塾では声をかけてくれないけれど、ドーナツショップではとてもやさしくしてくれます。聡子は霧島くんにもホンネをかくしているのです。塾でも霧島くんに仲よくしてほしい、友だちの輪に入れてほしいというホンネです。

聡子は、ホンネを言えない自分のいらいらを家では両親にぶつけてしまいます。
ところが、デパートの試食販売の仕事を始めたお母さんをこっそり見に行ってから、聡子は変わり始めます。
大きな声を出すのが苦手なはずのお母さんが、声をはりあげて、元気に仕事をしている様子を見て、自分も本心を言えるよう変わろうと思うのでした。

ポイント

心理学で「アサーション(主張)」という考え方があります。
思っていることをためこんで言えなかったり、がまんしてしまうタイプの人が相手の気持ちを考えながらも、自分の気持ちや主張を受け入れられるように表現していくものです。

「ハッピーノート」を読んでいたらまさに、このアサーションの実践だと思いました。

そんごくう

今回の本

そんごくう

そんごくう

呉承恩/作 小暮正夫/文 中嶋潔/絵
864円 1988年初版(16世紀に成立)

テーマ

ぼうけん・ファンタジー

読後感

わくわく・おどろく

絵のタッチ

やわらかい線・ひょうきんな表情

あらすじ

高い山から落ちてきた石のかたまりからサルが生まれてきました。そのサルは、その後サルの王さまになります。それから500年もたったころ、そのサルの王さまは不老不死をのぞんで、仙人の弟子になりたくさんの術をおぼえます。
これがそんごくうです。そんごくうは世界を回り、天の国まで行って、大あばれをします。ところが、そんごくうは、おしゃかさまに罰として500年間、五ぎょう山の岩に閉じこめられてしまいます。ようやく許されたそんごくうは、三ぞうほうしを助けて旅をします。旅の途中に次から次に現れる妖怪たちをやっつけて大活躍をするのです。

ポイント

けたはずれな数字がたくさん出てきて、話のスケールの大きさを感じます。
①そんごくうは、重さが8トンもある自由に伸び縮みする「にょいぼう」をふりまわします。
②10万8000里(地球を10周できる距離)を一瞬で飛べる雲の乗り物「きんとうん」をあやつります。
③3000年、6000年、9000年に一度実る不老不死の実を食べてしまいます。

また、そんごくうは、不思議な術をつかいます。
①体の毛を抜くとその毛一本一本が小さなそんごくうになり、敵と戦います。
②敵がいる場所に小さな虫になって入り込んだりもできるのです。

時間や大きさの目まぐるしく変わる世界が物語にどんどん引き込みます。

天使のいる教室

今回の本

天使のいる教室

天使のいる教室

宮川ひろ/作 ましませつこ/絵 
605円 1996年初版

テーマ

いのち、生きる力

読後感

なみだが出る

絵のタッチ

あたたかい

あらすじ
小児がんを患うあきこちゃんが、小学生になった1年間の物語。あきこちゃんが家族や先生、クラスのみんなの支えの中で、病気にめげず生きる姿が、入学式、遠足、運動会、折々の行事を通して描かれます。
ポイント
あきこちゃんをめぐる人々を通して、人が共に心を分かち合いながら生きるとはどういうことかを描いた作品です。中でも担任のサトパン先生が「ことばあそびうた」として授業で取り上げる「かっぱかっぱらった…」で有名な谷川俊太郎の「かっぱ」の詩などが出てきます。あきこちゃんに生きる力を与えるクラスみんなのことばのシャワーとなってふりそそぎます。
最後まであきこちゃんことばの力を信じています。入院したベッドの中でクラスのみんな23人分のクリスマスカードを書きます。一人ずつにそれぞれのことばをつづるのでした。ことばのシャワーは読み手にも生きる力を分けてくれます。

ふしぎなふしぎなながぐつ

今回の本

ふしぎなふしぎなながぐつ

ふしぎなふしぎなながぐつ

佐藤さとる/作 村上つとむ/絵 
1,512円 1972年初版

テーマ

想像・空想

読後感

不思議な気持ち

絵のタッチ

素朴

あらすじ
かおるくんは真新しい小さなながぐつが片方かきねの下に落っこちているのに気づきます。次の日、行ってみるとそのながぐつは一回り大きくなっているようすです。持って帰って置いておくと日に日に大きくなるのでした。かおるくんはこのおかしなながぐつを人に見られないように物置きにかくします。そのうちに、ながぐつはかおるくんの背たけよりも大きくなります。ところが今度は日に日に小さくなっていくのです。
ポイント
くつしたの中にプレゼントを入れてくれるのはサンタクロースとわかっているからプレゼントは喜べるものなんですね。誰のものかわからないものを手に入れたことがきっかけとなり、想像がふくらむお話です。このお話のながぐつは結局なんで大きくなって、その後小さくなってしまったかもわからないままなのです。読後感はいつまでも不思議の世界と自分のいる日常がつながっているような妙な気分です。落し物を見ると不思議な空想がわいてきてしまうのです。

ナウシカのモデルのお姫さま!?

今回の本

虫めづる姫ぎみ

虫めづる姫ぎみ

森山京/作 村上豊/絵
1,296円 2003年初版

テーマ

個性・アイデンティティ

読後感

みんなちがってみんないい

絵のタッチ

やわらかい、丸っこい

あらすじ

お姫さまは毛虫が大好きで、男の子たちに虫をつかまえさせては、
虫の名前を調べたりするのが楽しみです。美しいお姫さまなので男性からも言い寄られたりもするのですが、それでもお姫さまは虫のことにしか興味がないようすです。

ポイント

『堤中納言物語』という平安時代に書かれた作品の一編です。お姫さまは周りがどう言おうがお構いなく、趣味に没頭して生きる動じなさがあります。そこに人間的な個性と魅力が表れていると感じる作品です。この作品は虫をあやつるお姫さまが活躍する『風の谷のナウシカ』のもとにもなっているそうです。

ひんやりとしたガラスの少年時代

今回の本

ガラスのうま

ガラスのうま

征矢清/作 林明子/絵
1296円 2001年初版

テーマ

想像力、純粋さ

読後感

ドキドキ、わくわく

絵のタッチ

シンプル、繊細、つるっとしている

あらすじ

すぐり少年はガラス細工のうまの足を折ってしまいます。うまはすぐりの手から抜け出して、山の中にかけ出して行ってしまいます。追いかけて迷い込んだ山の中で、すぐりは魔女のようなガラス山のかあさんの小屋で水くみをさせられます。たまった水がめの奥は深く夜空のような世界が広がりました。その中をあのガラスのうまが走っているのです。追いかけるように、すぐりは水がめの中に飛びこむと、その先には何もかもガラスでできた世界が広がっているのでした。

ポイント

日常から不思議な世界に入り込んでいく「千と千尋の神隠し」や「おしいれのぼうけん」のタイプのお話です。子供がお話の世界に入り込みやすく、魅了されるタイプのストーリーだといえます。

ぼくはおばけのおにいちゃん

今回の本

ちいさなねこ

ぼくはおばけのおにいちゃん

あまんきみこ/作 武田美穂/絵
教育画劇 1080円 2005年初版

テーマ

友だち
兄妹

読後感

わくわくする

絵のタッチ

輪かく線が太く、はっきりしてわかりやすい

あらすじ

留守番する幼い兄妹が夜になる心細さを感じています。
唐突におばけが窓からやって来て二人と一緒に夜空をかけめぐります。

ポイント

先日、「5回読んだよ!」と1年生に言われたた本をご紹介します。
大人の目線からすると、おばけとの交流というありがちな設定の本の印象です。
それなのに、子どもが再読したくなる魅力とは何かと考えてみたくなりました。
まず、大人には単純に感じるストーリーですが、それは絵を見る余裕を持たせる意図があるようです。
星空の絵が見開きいっぱいに広がったり、おばけが紙面を縦横無尽に飛び回る様子が躍動感を感じさせます。
また、ことばに着目すると「ひゅうひゅうひゅう。」「おーい、おーい、おーい」など繰り返しが多用されます。

こう考えてみると、単純明快なストーリー、繰り返しという人を読書の世界に引き込む要素の王道がありました。
1年生に学んだ1冊です。

ワガハイはちいさなねこである。

今回の本

ちいさなねこ

ちいさなねこ

石井桃子/作 横内襄/絵 
1967年初版 864円 

テーマ

猫の視点

読後感

はらはらしたけれど、ほっとした。

絵のタッチ

リアルな描写とシンプルな色使い

あらすじ

ちいさなねこが母猫の目を盗んで外に出て行ってしまい、車や犬など危険をかいくぐっていきます。

ポイント

本の本質、同じ世界を見ているはずなのに別の視点で見てみると
こんなに違って見えるのかということの醍醐味がシンプルに描かれています。
猫が本の見開きに大写しで描かれて、ならではのすばしっこい動きを紙面上で
あらわすスリリングな感じもおもしろいです。
安心感とともに読み終わるので、本を閉じるときには満足感でいっぱいです。

おだんごで友達をふやそう!?

今回の本

とおせんぼ

とおせんぼ

村上しいこ/作 たごもりのりこ/絵
1,620円円 2014年初版

テーマ

人情

読後感

めでたしめでたし

絵のタッチ

ほのぼの

あらすじ

一人ぼっちの子鬼は友達が欲しくてとおせんぼをする毎日です。けれど、誰も立ち止まってくれません。ある時通りかかったおじいさんにとおせんぼをすると「へたくそ!とおせんぼの極意を教えてやる」とおじいさんのだんご屋に連れていかれて働くことになりました。
だんご作りをするだけの毎日が過ぎていきます。
けれど、おじいさんはちゃんとその間に山の中にだんご屋を一軒建っててくれていたのでした。のれん分けしただんご屋は繁盛してとおせんぼをしなくても人が集まる場所になったというお話です。
心憎い大人のはからいです。

ポイント

ことばの学校ではこのたび、小学校入学前からでも取り組める教材を開発しました。ラインナップはすべて絵本です。今回取り上げた本はその1冊です。

カツ丼やラーメンには愛がある!

今回の本

すすめ!ドクきのこ団

すすめ!ドクきのこ団

村上しいこ/作 中川洋典/絵
1,296円 2011年初版 

テーマ

自己変革

読後感

ハッとする

絵のタッチ

線が太い

あらすじ

小4のたつしが名づけたドクきのこ団といういたずらグループが今解散の危機にあります。そんな中、たつしはクラスメイトの愛里ちゃんを好きになるのですが、仲良くできず、愛里ちゃんにいたずらばかりしてしまうのです。相談したお兄ちゃんからは相手のことを見ていないからだと指摘されるのでした。そのことがきっかけで、たつしはドクきのこ団の解散危機の原因がひとりよがりな自分にあるのだと気づくのでした。

ポイント

兄ちゃんのアルバイト先の食堂でお客さんの気持ちを察しながら、対応することを覚えたたつしは愛里ちゃんやドクきのこ団の仲間たちの気持ちを考え始めます…

要所要所でカツ丼やラーメンつくっていっしょに食べるという話が出てきます。人と人が心を通わせる機会をいっしょに食事することとして描いています。そこが気負いがなくさらりとした様子で余計にあったかくて、しみじみとしてきます。

おばあさんのひこうき

今回の本

おばあさんのひこうき

おばあさんのひこうき

佐藤さとる/作 村上勉/絵 
1973年初版 1,620円 

テーマ

家族

読後感

わくわくする

絵のタッチ

素朴

あらすじ

編み物上手な一人暮らしのおばあさんがチョウの羽をじっくり観察して、その模様通りに編み物を作ったら、なんとふわりふわりと編み物が浮き出しました。
おばあさんは、これで飛行機を作り、孫のいる港町へ空の旅をするのでした。

ポイント

お話の始まりがじわりじわりとしたテンポで、いかにも編み物を楽しむおばあさんのゆったりとした時間感覚です。

そのテンポの中で、不思議な出来事が突如として起こります。
そのため、お話の変化の面白さを一層感じさせます。

旅が終わり、
おばあさんは大好きな編み物をあまりしなくなってしまいます。
そして、それまで孫家族と同居することを断っていましたが、孫のいる町へ移り住むのです。
しかし、その理由は特に書かれません。
そんな終わり方も、ずっと不思議な世界の余韻を読み手に残してくれます。
なぜなんだろうと想像してみましょう!

三銃士

今回の本

ふりかけの神さま

三銃士

デュマ/作 村井香葉/絵 
864円 1844年初版

テーマ

仲間

読後感

はらはらする

絵のタッチ

劇画風、強い

あらすじ

青年ダルタニャンがパリに出て、銃士隊の仲間たちと一緒に敵対するリシュリュー首相らの陰謀に立ち向かう冒険あり、恋ありの物語。

ポイント

本来は1000ページ以上ある本をダルタニャンの エピソードを中心に小学生向けにまとめたのがこの本です。そのためとてもスピード感にあふれています。 フランスとイギリスの戦争が背景にあり、 ダルタニャンを始め、実在した人物がたくさん出てきます。

三銃士というと男の子の本のように思いがちですが、 中心人物にはダルタニャンの恋人コンスタンス、 そしてフランスの王妃、他になぞの黒マントの女ミレディなどの女性もたくさん出てきます。
時代を経ても老若男女誰でも、みんな面白い名作をどうぞ!

ふりかけの神さま

今回の本

ふりかけの神さま

ふりかけの神さま

令丈ヒロ子/作
わたなべあや/絵
1,188円(税込)
2006年初版

テーマ

読後感

夢を見た気分

絵のタッチ

ほのぼの 丸みがある

あらすじ

主人公のさらちゃんはおかずを食べず、ふりかけのごはんが大好き。お母さんにふりかけを禁止されてしまったところ、ふりかけの神様が現れます。

ポイント

「○○の神様」という言い回しは良く使われますね。
八百万(やおよろず)に神様がいると言いますが、さすがにいないだろうと思う ふりかけにも神様がいたのでした。

主人公のさらちゃんがふりかけよりも大事なものに気付いたとき神様はいなくなってしまいます。

その大事なものとはお母さんの存在だったのです。 お母さんがさらちゃんを思って作ってくれた食事が一番だと気付く。

主人公が他の登場人物の影響で変化・成長するお話をシンプルにそしてファンタジーの力を使って読ませてくれます。

曲がり角の先にあるのは、きっと一番良いものに違いない。

今回の本

赤毛のアン

赤毛のアン

L.M.モンゴメリ/作
村岡花子/訳 HACCAN/絵 
713円 1908年初版

テーマ

成長

読後感

わくわく

絵のタッチ

現代的・かわいらしい

あらすじ

孤児のアンが引き取り育ててくれたマシュウおじさん、マリラおばさんや友人たちとの交流を通して自分を見つめ、生きる喜びを様々に感じる瞬間が描かれます。

ポイント

連続テレビドラマでも話題になりました。
読み始めると風変りな少女のアンが出てきます。

最初、人の話も聞かないような困った印象なのです。
ところが、読み進めるとその違和感が読み手を引き込む力に変わるのです。

アンが生き生きと語りかけてくるようなのです!

そして、アンを引き取ったマリラやマシュウがそうなったように
アンの想像力あふれる話をまた聞きたくなってしまいます。

たぐいまれな想像力と純粋な(まっすぐな、そのため失敗もする!)
性格のアン・シャーリーの成長がプリンスエドワード島の美しい四季とともに絵のように語られます。

2014年の今月の一冊